「工場実習」
これからメーカーを受けようと思っている就活生や、メーカーに就職した新入社員は一度は聞いたことがあるでしょう。
現場実習や工場研修とも呼ばれますね。
自社工場を持つメーカーに入社すれば、ほぼ99%この工場実習を経験することになります。
筆者は大学を卒業した後、自動車業界の大手メーカーに総合職として入社しました。
今回は、実際に工場実習を半年間経験した僕がその実態を紹介したいと思います。
自己紹介
浪人・仮面浪人を経て難関国公立大→新卒大手メーカー
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目次
メーカーの工場実習とは?その内容は?
メーカーは製造業のため工場で製品を生産しています。
もちろん、工場で働いている方々が存在するわけですが、一般的に工場勤務は工業高校などを卒業した高卒社員の方がほとんどです。
しかし、新入社員の場合は大卒だろうと院卒だろうと関係なく、
「工場実習を通して現場を知れ!!」
という名目のもと、工場で実際に生産ラインに入って作業者として働きます。
期間は企業によって違いますが、一般的には数ヶ月〜半年程。長いところでは1年以上続くところもあります。
特徴的なのはその勤務体制です。
多くの工場では二交代勤務や三交代勤務を採用しており、工場をほぼ24時間稼働させています。
簡単に説明すると、工場で働く時間帯は朝勤務と夜勤務に分かれているということです。
僕の場合、
朝勤ならば朝6時前には工場へ到着、残業も含めて夕方16時や17時頃に勤務終了
夜勤ならば夕方16時半頃に工場へ到着、残業も含めて深夜2時や3時頃に勤務終了
といった感じでした。
このルーティンを1週間続けて、翌週には勤務時間が交代します。
つまり、
朝勤1週間→夜勤1週間→朝勤1週間→夜勤1週間
という生活を送ることになります。
また、休日出勤がある場合は土曜日も容赦無く出勤になります。
肝心の仕事内容ですが…
ハッキリ言って工場の生産ラインの仕事内容は、「単純作業の繰り返し」という点はどのメーカーも同じです。
ただし、その「単純作業のキツさレベル」は配属される部門や担当によります。
例えば、
その場からほとんど動かない作業を任された場合は体力的にそこまで疲れませんが、
常に動いており移動距離も大きい作業担当になると冬でも汗だくになります。
僕の場合、
製品がドンドン流れてくるのですが、1台あたり1分数十秒以内に指示書通りに部品を組み付けていくという作業でした。
指示書を確認する→指示書通りの部品を箱から取り出す→車に組み付ける
という流れで時間に追われながら常に動いていたため汗だくになりました。
逆に、全く違う部門に配属された同期は、
製品の指定された部分を触って異常がないか確認する
という作業内容だったため眠くなるという人もいました。
田舎生活や地方生活になる場合が多い
有名企業や大手企業になると都市部にある大きなビルを想像するかもしれません。
しかし、それはあくまで本社や本店の話。
メーカーのほとんどは工場を地方や田舎に構えています。
そのため新入社員研修の時点は本社に通っていたとしても、工場実習の際には田舎へ引っ越さなければならない必要があります。
もちろん、引越しと言っても費用は会社側が出してくれますのでご安心を。
会社の寮、または会社の借り上げ賃貸に住むことになります。
僕の場合は会社の借り上げアパートに入居しました。
周りは山と田んぼしかなく、コンビニに行くのも車で数分かかる程のド田舎でした。
車がないと生活できないですし、平日は疲れ果てているため帰宅して食事をして風呂に入って寝るという生活しかできません。
しかし、さすが女子が少ないメーカー。女子寮はめちゃくちゃ優遇されていました。
工場からは少し離れていますが、市街地や駅にも近く部屋自体も男子とは比べ物にならない程キレイです。
おそらく、ほとんどのメーカーはこういった生活面では女子の方が優遇がされているのではないでしょうか?
ただでさえ女子が少ないメーカーは女子に辞められたら困りますからね。
工場実習はキツいって噂は本当?
結論から言うと、めちゃくちゃキツいです。
「単純作業の繰り返しでしょ?営業とかの方が辛いに決まってるじゃん…」
なんて思う方もいるかもしれませんが、また別のキツさがあるのです…
- 睡眠リズムが崩れる
- 身体の至るところに支障が出る
- 疲れがとれないし痩せる
- 配属された部署によっては精神的にもキツい
睡眠リズムが崩れる
まず第一にこれです。
先述した通り、工場勤務は朝勤と夜勤が1週間で入れ替わります。
「先週は夜勤だったから朝寝て昼過ぎに起きていたのに、今週は朝5時に起きないといけない…」
という状況がずっと続きます。
慣れる人は慣れますが、これが人によってはめちゃくちゃキツいです。
毎週月曜日は全く眠れずに出勤…なんて人もいました。
不規則な生活を強制的にされているため体調も崩しやすくなります。
みんなゾンビみたいな顔をしていましたね笑
千鳥のノブが見たら、
「ウォーキングデッドみたいになっとる!!」
と間違いなくツッコむはずです。
身体の至るところに支障が出る
単純作業の繰り返しと言ってもゴリゴリの肉体労働です。
毎日8時間以上、常に身体を動かし続けていることを想像してください。
控えめに言っても地獄です。
僕も場合、部品の入った箱を持ったり、指示書通りに部品を組み付けていたのですが、
最初は全く間に合わない。
各作業員ごとに行う作業は違うのですが、製品は1台あたり1分数十秒で流れていくため遅れたりミスすると他の作業者にも迷惑がかかります。
そして、毎日毎日毎日毎日同じ作業を繰り返していると人間の身体ってどうなると思いますか?
身体の至るところが炎症を起こして常に痛みや痺れと戦うことになります。
部品を組み付ける際にインパクトという電動工具を使ってボルトを固定するのですが、この工具の振動がスゴイのです。
朝起きると、手がインパクトを持っている形のまま硬直していて動きません笑
常にジンジンとした痛みに襲われることになります。
また、箱を持ち上げたり、部品を組み付ける際の体勢もジワジワ効いてくるのでしょう。腰も常に痛いです。
そして常に動いているため、足の裏全体も痛いです。
もはや身体全体が痛くなるのです。満身創痍です。
身体中に湿布を貼って耐え抜くしかないのです。中には指の感覚がおかしくなって病院に通っている同期もいました。
疲れがとれないし痩せる
プロ野球のピッチャーは一度登板したら、次の登板に備えて万全なコンディションを整えるため数日は登板しません。
しかし工場作業者は毎日登板します。そして調整は中2日や1日です。超酷使されるのです。
「今日は早く寝る!!」
と息込んで十分睡眠を取ったとしても次の日の朝は身体が痛いです。全体的にダルいです。
そして体重がめちゃくちゃ落ちる。
常に動いているんだから当たり前ですよね。
僕は5キロほど落ちました。中には10キロ以上痩せていた同期もいましたね。
借り上げアパートの前から通勤用のバスに乗って工場へ向かうのですが、バス内では誰一人喋りません。
別に仲が悪いわけではないのです。
みんな疲労と絶望で喋る気力もないだけです。
配属された部署によっては精神的にもキツい
製品を生産するにはいくつかの工程に分かれていて、もちろん作業者も担当する工程は様々です。
僕は組立部門という、最も身体を動かすと言われている部門でした。
幸い、僕の部門のリーダーや先輩は大卒実習生に対してとても優しい方々で人間環境には恵まれていました。
しかし、中には大卒実習生に対してよく思っていない人も存在するのも事実で、めちゃくちゃ怒られていた同期もいました。
メーカーにとって品質は命です。
もし市場に流れた製品に不具合があれば大問題になります。
同じ作業の繰り返しと言っても、一度もミスしない人間なんて存在しません。
それでも組み付ける部品を間違えてしまったりミスをしてラインが止まってしまうと
「オラあああああ!!ふざけんじゃねえ!!なにやってんだああああああああ!!!!」
「てめえの仕事だろうがもっと責任感持てええええええ!!!!」
なんて怒鳴られることもあります。
正論です。いや正論なんですけどめちゃくちゃ怖い。
端から見てもめちゃくちゃ怖いです。
工場の野郎共をまとめ上げるリーダー達は正直見た目が「完全にアレ」な人も少なくありません。
そんな人が鬼のような顔で怒号を飛ばしてくるのです。
いやそりゃ怖いでしょ。
結構稼げる?せめてものメリットを紹介します。
ここまで工場実習はキツいキツい&キツいとしか紹介してきませんでしたが、せめてものメリットを紹介させてください。
- お金がめちゃくちゃ貯まる
- 色々な人と知り合える
お金がめちゃくちゃ貯まる
工場勤務は早朝からの勤務や深夜勤務があるため、その手当が存在します。
この手当が結構バカにならない。
新社会人の基本給って、大手企業だとしても20万円前後です。
それが工場実習中は残業代や手当を含めると、多いときで手取り30万、少ないときでも手取り25万は超えます。
さらに、これは企業ごとに違うと思うのですが、僕の会社の場合は
「応援手当」という名の手当が非課税で毎月10万円程支給されました。
よって毎月手取りで40万円ほど貰っていました。額面ではありませんよ。手取りです。
新入社員で手取り40万円は相当デカいのではないでしょうか?
もちろん使う暇なんてほとんどないためお金がドンドン貯まっていきます。
まあ、こんなキツい実習なんてしなくても外資系や超絶ハイパーエリート企業の方々は1年目で手取り40万円以上貰っているでしょうけども(白目)
色々な人と知り合える
これは個人的に面白かったことで、メリットと言えるのかはわかりません。
工場には本当に色々な人がいます。
正社員だけでなく、期間工や派遣社員の方々も存在します。
全国各地から色々な人達が集まっているのです。
- 大学進学の費用を稼ぐために働きに来ている人
- YouTuberとして生きていこうと決心するも食べていけないため生活費を稼ぎに来ている人、
- 以前は全く別の地域で働いていたが、マッチングアプリで知り合った人と付き合うためにわざわざこちらの地域に越してきた人
- 今までの経歴は一切教えてくれず、別の派遣社員と喧嘩をして2週間でいなくなった人
- 急に来なくなったと思ったら、女性物の下着を大量に仕入れて「使用済み」と称して転売していたことが発覚して逮捕されていた人
- 彼女のために高級車をプレゼントしたら逃げられて、その支払金を稼ぎに来ている人
などなど…
多種多様な人々が混在する空間となっています。
そういう方々の話を聞くと、自分の知らない世界や価値観を知ることができてある意味人生勉強になります。
工場実習の意味はあるのか?ないのか?
こればかりは人によります。
ネット上では「工場実習なんて全くの無意味!!」なんて意見が多いですが、
僕の場合は配属された部署が現場の方々と関わることが多い部署のため、
「現場にしかわからない事情や製品が生産される流れを身をもって学ぶ」
ということにおいては意味があったと思います。
メーカーはモノを作って売ってなんぼの世界です。
現場を知らない人間が、メーカーという業界について語っても、何の説得力もないということは知っておいてください。
終わりに 〜工場実習での必須アイテム〜
いかがでしたでしょうか?
今回は僕の実体験から、工場実習はどんなものなのか解説してみました。
これからメーカーを受けようと思っている人、メーカーに入社する予定の人は是非参考にしてください。
それと、これから工場で働く予定の方は必ずインプラス社の「ソフソール」というインソールを必ず購入して、作業靴の中に入れてください。
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これがあるとないとでは天と地の差があります。
何もインソールを入れなかったら足の裏が激痛でまともに歩けなくなります。地獄を見ることになりますよ笑
それでは今回は以上です。