工場勤務と聞くと何故だか良いイメージを持たない人って意外といるのではないでしょうか?
一般的によくイメージされることが「給料が低い」「キツイ」「汚い」「危険」といったところでしょうか。
しかし、これらの内容はあくまでネット上の根拠のない話や誇張された噂などで広がった間違ったイメージです。
今回は実際に大手メーカーに勤務している僕が、高卒工場勤務の待遇や会社生活について解説します。
僕は大卒総合職のため工場の現場で働いているわけではありません。オフィスワークです。
ですが仕事柄しょっちゅう現場に行き工場の方々と関わっているため、色々と深い話や面白い話を聞かせてもらっています。
僕自身、入社する前と現在では工場勤務の方に対するイメージがガラッと変わったため、これから就職で工場で働く予定の人や、将来は大手メーカーの工場で働きたいと思っている方は是非参考にしてください。
そして、「工場勤務は底辺www」「大手でも所詮は工場www」などと言いがちな方。
特に現在大学生の方や大卒会社員の方。自分は大卒だからとあぐらを掻いていると余裕で高卒工場勤務の方に追い越されるかもしれません。何なら既に給料面で追い越されているかもしれません。
僕自身が大卒であるからこそ、高卒という枠組みだけでなく大卒視点での意見も踏まえて今回は解説していきたいと思います。
自己紹介
高卒工場勤務は大企業でも底辺なのか?
結論から言うと全く底辺ではありません。
むしろ長い目で見ればそこらの大卒会社員よりも生涯年収は多いこともあるんです。
前提として「工場勤務は底辺www」などといった言葉は、あくまでイメージで広がっているだけだと思ってください。
規模が小さく経営状態もあまりよろしくない工場に
勤めている人がネットで情報を漏らす
→ それを鵜呑みにした人が「工場勤務は底辺」と発言する
→ 世間に「工場勤務は良くない」というイメージが広がる
そしてこの様なマイナスイメージを抱いている方は都会で生活しており、工場で働いている人を身近で見たことがない人たちでしょう。
大手メーカーは大規模な工場を全国各地に持っており、その地域の雇用と経済を支えています。
ずっと都会で過ごしている方は驚くかもしれませんが、地方では高卒工場勤務の人間でも土地を買って駐車場付きの家を建てて車は一家で2,3台持ちというのが一般的です。
逆に言えば、高卒工場勤務であろうと地方の大企業の工場であれば十分裕福な生活を送ることが可能ということです。
大企業の工場であれば、実は福利厚生や社内サービスなどの内容は大卒総合職と何も変わりません。平等に恩恵を受けることが可能です。変わるのは給料だけです。
少なくとも薄給で生活に困るなんてことはありません。世間は車離れなんて嘆いていますが、工場勤務の若い子達は意外とみんな良い車に乗っていますよ笑
危険汚いという意見に対しても、僕は偏見が入っていると思います。
実際に工場で作業をしていたり関わったりしている人はわかると思いますが、工場は危険と言われている場所だからこそ安全に対する意識は一般人のそれとは桁違いに高いです。
とにかく安全第一です。安全を確保するために常に清潔に保たれています。
とりあえずザックリですが総合的に見たら、
高卒工場勤務でも大手企業ないしは大手のグループ企業であれば底辺どころか都会で疲弊している大卒会社員よりも多く給料をもらっているし福利厚生も充実しているし極端なブラック労働もないし幸せ度は高いんじゃね??
というのが僕の所感です。
工場勤務はキツいって本当?
では工場勤務がキツいというのは本当なのか?
結論から言うと、作業はめちゃくちゃキツいです。
実際に半年間製造ラインに入って作業者として働いた僕が工場実習についてまとめた記事がありますので是非ご覧ください…
正確に言えば「製造ラインに入って作業者として働くのはキツい」ということですね。
と思っている方も多いのではないかと思います。
しかし実際はその様なケースは滅多にありません。
大手企業は社員の育成のことも考えているため、しっかりとしたキャリアプランが組まれていることが多いです。
一例としては、
- 入社〜20代前半
→ラインに入ってゴリゴリ作業。 - 20代中盤〜
→若手のリーダーとして現場で工程の指示や補助。 - 30代
→中核的存在となり他部署との連携業務なども行う。 - 40代
→職位も上がり現場以外の職場に異動する人も現れる。 - 50代
→上位役職に就き社員を総括する立場となる。
(例外)40代や50代で課長や部長になる人も…!
といったキャリアフローが挙げられます。
あくまで例ですので全員がこの様なキャリアフローを送るわけではありませんが、僕が勤めている会社ではこの様な人が多いイメージです。
つまり、実際に製造ラインに入って延々と作業するのは社員あれば若いうちだけで、それ以降はどちらかというとライン外で現場の指揮を執る業務になることが多いのです。
実際にラインに入って作業を行なっているのは、実は大半が期間工や派遣社員の方々という場合がほとんど。
よくネット上で『期間工募集!!』という広告を見かけることはありませんか?
そういった広告や人材紹介会社の仲介によって作業員を大量採用しています。
工場勤務であっても正社員であれば、年数を重ねることで着実にキャリアアップすることが可能ですし、一生ラインで作業するということは滅多にありません。
高卒工場勤務の年収は世間の大卒より多い?
気になる年収の方はどうなのでしょうか?
結論から言うと、高卒工場勤務であろうと大手であればぶっちゃけ大卒公務員ぐらいは普通に稼いでいますし、人によってはそれ以上もらっている人もいます。
同じ年齢で比べても、世間の大卒会社員より年収が高い人はザラにいます。
まず「高卒工場勤務は給料が低い」という認識が間違っており、実際は日本の平均年収以上に貰っている方はとても多いです。
もちろん若い頃はお世辞にも毎月の給料が多いとは言えません。
しかし長く勤めれば勤めるほど基本的に毎年年収は上がっていきます。最終的に40,50代になったら世間的にもかなりの高収入の部類に入ります。
高卒新入社員の場合、基本給は大手であっても大体16万〜18万円程の企業が多いと思います。
しかし交代勤務であればそこに「早朝手当」「深夜手当」、残業をすれば「残業手当」が上乗せされます。
それを加味すると大卒で残業なしあるいは多少残業している人と同程度の給与になるのです。
僕が勤めている会社の仲が良い高卒社員の後輩と先輩をモデルケースとして見ていきましょう。
- 高卒1年目時
- 毎月の給与額面23〜25万円程
- 冬のボーナス45万円程(1年目のため夏は数万円程度)
高卒1年目から冬のボーナス40万越えってすごいですよね。工場実習のときボーナスの見せ合いっこをしましたが、ここまで多いとは思わず驚いた記憶があります。
2年目には年収400万円程度になったみたいです。
- 高卒10年目の28歳の先輩
- 毎月の給与額面30〜40万円程
- 夏冬ボーナス140万円程
年収で換算するとなんと500〜600万以上!!
二人ともこの年は残業は普通程度だったそうです。
現場で働く場合、残業代や休日出勤手当などでかなり年収が変わってきますので、注意点としては不景気になった時に残業規制によって収入が少し減る可能性があるという点ですね。
とは言っても、毎年しっかり昇給はしていきますし、これぶっちゃけそこそこの大手企業に勤務している大卒より年収は高いのでは…
「大卒は幹部候補だから将来出世して高卒工場勤務なんかより給料多くなるに決まってる!!」
と思っている大卒の皆さん、本当に自信を持ってそれが言えますか…?
僕はメーカーに勤めている大卒だからこそ言えますが、現場で働いている人達は高卒であろうと世間の大卒が思っている以上にタフで頭脳明晰で稼いでいますよ。
トヨタやデンソーなど大手の高卒年収
日本を代表する超大手メーカーのトヨタやデンソーの高卒年収はどの様なものなのでしょうか?
このレベルの企業になると、ぶっちゃけ世間の大卒会社員よりも余裕で高い収入を得ています。(大卒高収入企業は除く)
まずはトヨタ自動車から見ていきましょう。
もちろん残業によって変動するので大体の推移となります。
平均年収852万円
- 20代 → 年収300〜600万程
- 30代 → 年収500〜800万程
- 40代 → 年収700〜1000万程
- 50代 → 役職がつけば年収1000万越えは余裕
課長、部次長級になれば1200〜1800万…なんてもんじゃないという噂も…
恐らく、高卒工場勤務を目指す方が最も入社したい企業がこのトヨタでしょう。
冗談抜きに高卒であろうと世間でもトップクラスの年収を得ることができます。もちろんこれはモデルケースですので、人によっては30代後半〜40代前半には年収1000万に到達する人も当然いるでしょう。
例え高卒枠で採用人数が多いからといって誰でも入れるわけではありません。工業高校ならクラスで成績1位の人が真っ先に内定を取りにいくでしょう。
続いて大手自動車部品メーカーであるデンソーです。
平均年収798万円
- 20代 → 年収300〜600万程
- 30代 → 年収500〜800万程
- 40代 → 年収700〜900万程
- 50代 → 役職がつけば年収1000万越えは余裕
こちらも課長、部長級になれば1000万〜1500万以上は到達すると思われます。
と思った方もいるのではないかと思います。
実際のところ、日本の大手メーカーは基本的に若い頃は各社そこまで大きな差があるわけではありません。
一定の年齢まではほとんど大差ないと言っていいでしょう。
ただし、変わってくるのはボーナスと残業代と役職手当です。これらがある程度の年齢までいくと大きな差を生むようになります。
ニュースや転職口コミサイトを見ているとよくわかりますが、メーカーは基本給はそこまで大きく変わりませんがボーナスでかなり収入が変わってきます。
例えば、デンソーは景気が悪い時でも必ずと言っていいほど5ヶ月以上は安定してボーナスが出ます。多い時は6ヶ月以上とのこと。
しかしトヨタの場合、悪い時でも大体6ヶ月、景気が良い時は7ヶ月分ボーナスが出るというから驚きです。
このボーナスのたった1ヶ月分が後々大きく影響してくるようになり、40代、50代になった頃には大きな差となります。
また個人によって残業時間も変わってくるため、一概に◯歳代は年収◯◯万円とは言い切れません。
もちろん、毎月定時帰りの人と毎月45時間残業している人では大きく年収が変わってきます。(工場勤務で毎月残業時間0というのはあまり聞いたことがありませんが…)
そしてこれらの大手メーカーで最も収入に大きな影響を与えるのが役職手当でしょう。
課長や部長になればもちろん、班長や組長や工長といった現場の指揮官クラスに就くことによっても同年代の一般社員と比べて大幅に収入が変わってきます。
特に工場勤務の方々がよく目指していると聞くのは、この班長や組長や工長と呼ばれるような現場のリーダー職位であり、これらの職位に就くことができれば同年代の世の中の大卒会社員よりも余裕で多くの収入を得ることができます。
もちろん、その分責任も大きくなりますし、単純に仕事ができるというだけでなく運や社内政治も関与しているため誰しもが必ずなれるというわけではありません。
これらのリーダー職位に就くことができるのは同年代の3割程度でしょうか。
それでも工場勤務をバカにする大卒
ここまで話した通り、工場勤務は決して底辺なんかではありません。
むしろ高卒で工場勤務で一流企業であれば、世間の中小企業に勤務している大卒どころか、そこそこ大手に勤めている大卒よりも待遇は良い場合があります。
しかし、僕の経験上やはり世間の大卒には工場勤務を悪く言う人が少なからず存在します。
久々に会った学生時代の友人は、、、
- 「5年10年後にはぶっちぎりでオレら大卒の方がランク上に決まってるじゃん。」
- 「工場な〜…夜勤とか可哀想だよね。そんなので稼いでても意味ない。」
- 「あいつらが夜勤とかで稼げるのは若いうちだけ。だってこれからずっと同じ給料なんでしょ?」
マッチングアプリで会った女性は、、、
- 「よく企業名だけ大手で実は工場勤務ってやつ多くてムカつく。」
- 「だってさ、大手って言っても所詮は工場でしょ?」
- 「大学出て普通の仕事してる私の方が上だもん笑」
こんな言葉を僕は実際に耳にしてきました。正直ツッコミどころ満載です。
ランクが上だとか給料がずっと同じだとか一体どこ情報で何を根拠に言っているんだと。そして「普通の仕事」ってなんだよと。普通の仕事は事務職だけとでも思っているのだろうか?笑
そしてこの様な発言をする人たちには共通点があります。
- メーカーや工場とは全く関わることのない仕事をしている
- この様な発言をしている本人は大してすごいわけではない
- 少なからず嫉妬心やコンプレックスを抱いている
- 日々マウント合戦や他人との比較をして自己肯定している
少なくともメーカーに勤務している、または勤務した経験がある人は大卒であろうとこの様な考えは絶対にしないでしょう。しないというより、こういった思考は必然的に生まれないです。
むしろ製造業のメインは現場ですし、現場と関わったことがあるメーカー社員は素直に「現場の人すげえな」と思った経験があるのではないでしょうか。(少々荒々しい方達もいますが笑)
これから工場に勤務する予定の方やメーカーの工場に就職したいという方は、こういった言葉を全く気にする必要はありません。
そして大卒だからといって工場をバカにする様な発言をしたことがある人はこれからは絶対に辞めた方がいいです。
その業界で働いている人間から見たら、業務に全く関与していない人や内情を知らない人がそういった発言をしている様子はとても滑稽です。
もしそういった話をメーカー勤務の人間にした場合、表面上は何も言われなくても心の中で可哀想な人だなと思われているでしょう。
高卒工場勤務まとめ
- 底辺などでは全くなく、世間の間違った工場勤務のイメージが先行しているだけ。
- 高卒であっても大卒となんら変わりない福利厚生や社内サービスの恩恵を受けられる。
- 企業によっては世間の大卒ホワイトカラー会社員よりも待遇が良い
- 製造ラインに入って作業をするのはとてもキツい
- ただし身体は慣れてくる
- 定年までずっとライン作業ということは滅多にない
- 一流企業や大手有名企業の工場であれば世間的に見ても高収入の部類
- 企業によっては中小企業に勤める大卒会社員よりも待遇が良い
- 景気や残業時間によって給料が上下する可能性もある
- このレベルの企業になると高卒であろうと長年勤めれば世間でもトップクラスの収入
- 安定しているため毎年段々と給料やボーナスが増えていく
- 日本の平均年収ぐらいは軽々と突破できる
今回は高卒工場勤務の給料やキャリアフローについて解説させていただきました。
他にもメーカーに関する記事を書いていますので是非そちらもご覧ください。