「人」で入社する会社を」選んではいけない理由
入社する会社を決める判断材料
これから就活を迎える学生や、今現在就活の真っ只中という人もいると思います。
最終的に内定を獲得したとして、あなたは何を判断基準に入社する会社を決めますか?
- 就活を早く終えたいから、最初に内定を出してくれた企業に決める人。
- 自分のやりたいことが実現できる業界に決める人。
- 年収が高い企業に決める人。
- 就活中に出会った人事やリクルーター、OB・OGに憧れて決める人。
様々な理由で最終的に決断する訳ですが、きっと迷う人や不安になる人も多いと思います。
今回はそんな就活生や学生に最適な判断基準のアドバイスをお届けします。
目次
入社してみないとわからない
外から見た会社と中から見た会社は全く違います。就活してた頃は憧れの企業だったのに、入社してみた
- 「こんなはずじゃなかった…」
- 「説明会の話と違う…」
- 「キツイ…辞めたい…」
なんてことはよくあることです。
少なくとも、仮にあなたがA社に入社したとして、あなたの同期のうち最低でも1人は必ず思っているでしょう。
そもそも、説明会や面接、OB・OG訪問などで、その企業のことを「完璧に見極める」ということは学生には無理な話なんです。
採用活動を行なっているのは基本的に「人事部」という部署で、実は会社の新卒採用活動には採用計画というものが存在します。
つまり、
「今年度は○○人の新入社員を獲得するぞ!!」
という目標が存在するのです。
その目標を達成できないと、会社としては「計画失敗」ということになります。
そのため、内定辞退されるのを防ぐために「囲い込み」を行う企業も多数存在します。
実は企業側も採用に対して必死だったりするんです笑
すごくフレンドリーに接してくる人事やリクルーター、優しいOB・OG。
- 「こんな先輩達と一緒に働きたい!!」
- 「この会社の人に憧れた!!」
でも、ちょっと待ってください…!!
「人」で入社する会社を選んではいけない
結論から言うと、
いくら就活中に憧れる人事や社員だと思ったとしても、
「人」で会社を選んでは絶対にいけません。
就活後の友人との会話で、
「なんでその会社に決めたん?」
「おれは人で選んだ。あの人と一緒の会社で働きたい。」
なんてことがよくあります。
実際に僕の先輩や友人も「人で決めた」と言っていました。でも、その先輩と友人は現在別の会社で働いています。
なぜ「人」を判断基準にしてはいけないのか?
理由を説明します。
- その人と一緒に働けるかどうかわからない
- その人がずっと同じ会社にいるとは限らない
- 入社する前と入社した後では人柄が違う
- その人が会社の全てではない
以下、解説していきますね。
その人と一緒に働けるかどうかわからない
あなたがその人と同じ部署、同じ室、同じ課で働ける保証はありません。
もしかしたら、会社人生で一度も一緒に働くことがない可能性もあります。
会社には本当に多くの「部署」があり、その部署からさらに多くの「課」に分かれています。
同じ拠点ならまだしも、別の都道府県の拠点に配属となったら気軽に相談することもできない可能性が高いです。
その人がずっと同じ会社にいるとは限らない。
その人が転職や退職する可能性もあります。
終身雇用に対して疑問が投げかけられる現在、転職市場はホットなものとなっています。
また、何かしらの理由でその人が退職する場合もあります。
就活中は相手のことが会社の顔として見えるため、その様なことは想像しないと思いますが、実際に起こり得ることです。
入社する前と入社した後では人柄が違う。
就活中に会う企業の社員たちはみんなとても優しいかもしれません。
基本的に学生と接触する社員は人事から「学生からのイメージが悪くならない様に。」と言われていることがほとんどです。
その他にも「学生と接触する際の注意事項」などの説明を受けています。
入社してからは意外とドライだったりする人も存在するかもしれません。
実際に僕が就活中に関わっていた社員の中で、入社する前は常に笑顔で面白い話をしていたのに、入社してからはほとんど笑顔を見たことがなく交わす言葉もあいさつ程度という人がいます。
その人が会社の全てではない
就活中に関わる社員はその企業の「顔」です。
しかし「顔」なだけで「全て」では決してありません。
どうしても、その人=その企業 と考えがちですが、会社には想像もしない様な人が溢れるほどいます。
いま関わっている人とは真反対の様な人も必ず存在します。
会社ごとに色や文化はありますが、その人が会社の全てを表しているわけではありません。
何を判断材料にすべきか??
- 転職サイトで企業の評価&口コミを確認する
- 有価証券報告書などで企業の業績を調べる
- 転職サイトの評価と企業の業績を掛け合わせて決める
こちらも解説していきます。
転職サイトで企業の評価&口コミを確認する
リクナビやマイナビだけでなく、OpenWorkやカイシャの評判といった転職情報サイトにも登録しましょう。
実際にその企業で働いている人の口コミを見ることができます。また、年収やワークライフバランスはもちろん、投稿者の入社理由や退職理由なども見ることができます。
投稿している人の部署や在籍年数などの基本情報も記載されているため信憑性は高いです。
会社説明会では語られることがほぼない、マイナスの面まで知ることができるためとても役立ちます。
- 自分が投稿者と同じ年齢になったらどれくらいの給与をもらうことができるのか。
- 四季報に書いてある平均残業時間と大きく違っていないか、本当はどの様な企業文化なのか。
といった点をチェックしましょう。
どこの会社に入社しても大変な部署や繁忙期は存在します。楽な会社を探せというわけではありませんが、口コミが明らかに酷い企業はやめておくことが賢明です。
有価証券報告書などで企業の業績を調べる
意外とこれを行っていない就活生が多いです。
企業の業績を調べることは、賞与(ボーナス)が業績と連動している会社の場合とても重要になってきます。
特に、企業側はパンフレットや説明会で「売上高」を大きくアピールすることが多いのです。売上高もいいですが、「営業利益」もチェックするようにしましょう。
主に4パターン存在しますが、
- 売上高も営業利益も伸びている 拡大・成長している企業
- 売上高が下がって営業利益が伸びている 費用を抑えている(自由退職を促して人件費を抑えるなど)
- 売上高が伸びて営業利益が下がっている 中長期的に見た投資を行っている(設備投資や人員増加など)
- 売上高が下がって営業利益も下がっている 大丈夫か…?
といったことが考えられます。
この中で選ぶとしたら、1番目か3番目にします。1番目は言わずもがな、3番目はこれからさらに成長する可能性もあるからです。
ただ、その企業がどの様な事業を行っているのか?どの様な経営方針なのか?という点も重要になってくるので必ずチェックしましょう。
現在良くても、数年後に世間から全く必要とされなくなる事業をメインに展開している様では少し危ないです。
ちなみに僕が勤務している会社は現在3番目のパターンです。
中長期的な投資を行っており、現在は全盛期に比べて賞与は少しだけ減っているみたいですが、3~5年後には過去最高の賞与額になるだろうと言われています。
転職サイトの評価と企業の業績を掛け合わせて決める
転職情報サイトの評価や口コミを見て自分が納得のいく給与水準や労働環境であることを確認した上で、有価証券報告書などで業績をチェックしましょう。
この2つの情報を掛け合わせて選ぶことが、現在の日本の就活において最良の手段だと僕は考えます。
また、上場している企業であれば株価を見ても良いでしょう。株価が安定している企業やその子会社であればよっぽど安心だと言えます。
そそ丸の体験記 〜僕も「人」で迷いました〜
実は僕も就活の際に「人」が原因でとても悩みました。
以下、僕の体験記になります。
一番最初に内々定を出してくれた大手メーカーのJ社という企業があったのですが、僕はこの会社の内々定をその年の就活生の中で一番最初にもらったそうです。
面接という面接も受けていません。いわゆる特別ルートというものです。
まず3月にOBを名乗る方から電話がかかってきて会うことに。工場を案内してもらいました。このOBの方がとても良い人で、共通の先輩の話などで盛り上がりました。
そしてすぐに人事と会ってみない?という話に。
翌日人事の方と会ってみるとなんとその人もOBでした。いわゆるリクルーター面談です。
雑談を中心にさりげなく志望動機や他に受けている企業を聞かれました。
1対1で話してみると分かるんですが、就活生から見た社会人って本当にカッコいいんです。
さらにOBということもあり、自分の将来をそのOBに投影してしまいます。
「自分もこの人みたいなカッコいい社会人になれるのかあ…!」
「この人と一緒に働いてみたい!」
もちろん思いました。
面談が終わり、2日後にまた来てくれと言われました。
そして2日後、OBにある部屋へ案内されました。
部屋へ入るとそこには明らかに偉そうな人達が…!!もちろんビビリまくります。
僕、OB、採用担当、人事部長、役員というオールスター集結です。(白目)
さらに驚愕の事実が発覚するのですが、その場にいる採用担当も人事部長も役員も全員OBだったのです笑
「まあまあ、これはただのOB会だからね笑」
なんて言いながらしっかり志望動機やら色々聞かれました笑
この面談が終わった後、学生では来ることができない様な料亭で食事会があり、OBが一言
「おめでとう!」
この時点で内々定が決まりました。
就活序盤からこんな大手から内々定をもらっていいのだろうか?という疑問はありましたが、OBが多い企業だとよくある話です。
もちろんこの後も就活を続けましたが、このJ社の社員さん達は定期的に連絡をしてくださり、僕に内々定を出しているのにも関わらず就活のアドバイスをしてくださったり、社長との面談にまで招待してくれました。
結論から言うと、僕はこのJ社へ入社しませんでした。
理由は2つあります。
- 同じ業界のメーカーで、J社よりも賃金指数が高く、業績における利益率が高いところに内定をもらったから
- 急遽、家庭の事情で中大規模の転勤があるところに入社できなくなったから
J社の方々には本当にお世話になりましたし、今でも感謝の気持ちで一杯です。
お世話になったということこともあって最後まで悩みました。なんせ就活を始めた頃から終わりまで、J社の社員さんたちはオワハラをすることもなく常に関わってくれていたからです。
内定を出す代わりに就活を終了して、うちで決めてくれといった企業から学生に対してのハラスメント。
そんな決まりは一切ないので、その場は上手いこと答えておいて、引き続き就活を続けても何も問題はありません。
もちろん、その後その会社を辞退しても問題ありません。屈しない様にしましょう。
しかし、現在僕が勤務している会社でもJ社と取引をすることが多いのですが、それでも色々な面から見て現在の会社に入社したことに対して後悔は全くありません。
終わりに
社会人になると様々な人と関わることになり、就活生の頃には見えなかったことがたくさん見えてくるのです。
僕が会社に入って思ったことは、
「同じ業種の大手メーカーであれば正直どこも変わらない。」
ということです。
文化や色の違い、製品の違いは多少はあれど、会社の制度や大きい括りでの仕事内容はほとんど変わりません。
そして、どこの会社にも自分の苦手な人や大変な部署は必ず存在します。そこに当たるかは運次第です。
だとしたら、「人」で選ばずにデータや数字を元に考えた方が得策であると僕は考えます。
僕の友人先輩でも、「人」で選んで希望を抱いて会社に入り、辞めていった人が何人もいます。
就活生に関わらず転職を考えている方、大学生の方は是非参考にしていただければと思います。
就活に失敗はありますが正解はありません。
正解はしなくていいので「失敗」だけはしない就活をしていただけたらなと思っています。
それでは、今回は以上となります。